ハートレイ彗星は、10月20〜21日に地球に接近します。また、太陽には10月28日に接近し、ガスなどをたくさん放出する彗星活動が最も活発な時期を迎えます。したがって、彗星はこの前後にかけて明るくなると期待されています。
一方で、過去のこの彗星の観測からは、太陽に最も接近した後も活発な彗星活動が継続し、むしろ明るくなるとも言われています。
これらを考慮すると、10月半ばから11月半ばまで、彗星を見るチャンスがあると予想されます。このため、約1カ月という長い期間、キャンペーンを実施することにしました。
このようにキャンペーンの実施期間が長いため、3つの期間に分けて、それぞれで観察におすすめの時間帯をご案内することにしました。ぜひご参照ください。
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今年のハートレイ彗星は、地球とかなり接近します。このため、地球から見た彗星の見かけの移動が速くなります。
キャンペーン期間中のハートレイ彗星の位置を星図に示しました。この期間、彗星はペルセウス座、ぎょしゃ座、ふたご座、いっかくじゅう座、こいぬ座と移動していきます。
※この星図は北が上に描かれています。地面に立って空を見上げたときには、北が上になるとは限りませんのでご注意ください。
※ハートレイ彗星の位置は、0時の位置を示しています。例えば10月19日深夜に観察する場合には、20日(0時)の位置を目安に探してください。
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※この星図は北が上に描かれています。
地面に立って空を見上げたときには、
北が上になるとは限りませんのでご注意ください。
StellaNavigator (AstroArts/ASCII) にて作図
キャンペーン期間のはじめの方は、真夜中前の早い時間帯にも、彗星を見ることができます。彗星は北東の空から上ってきますが、この期間の22時には、地平線から30度くらいの高さに上っています。
さらに条件よく観察するためには、彗星が空高く上ってくる時間帯の方がよいことになります。およそ真夜中の0時から明け方の4時頃まで、彗星は、ほぼ天頂付近に見ることができます。
条件良く観察するためのもう一つの条件は、月明かりの影響を受けないことです。彗星は、ぼんやりと広がっているため、月明かりで夜空が照らされると、大変見づらくなってしまうからです。
この期間の10月14日〜16日は、22時から真夜中の0時頃に月が沈みます。その時間帯より後では、月明かりの影響を受けずに観察できます。
その後、10月17日以降の時間帯では、月の沈む時刻が少しずつ遅くなり、明け方に近い時間帯となっていきます。このため、月明かりをさけて観察するには、明け方近くの短い時間帯だけとなってしまいます。
予想される彗星の等級は、まだ明るくなりつつある頃で、5〜7等級くらいと予想されます。10月21日頃になると、4〜6等級と明るくなりそうですが、空の暗いところで観察する場合でも、双眼鏡や望遠鏡を使用した方が良さそうです。
なお、ハートレイ彗星は、10月21日未明(20日の真夜中過ぎ)に地球に最接近します(接近距離:約0.12天文単位=約1,800万km)。この前後数日で、見かけ上、彗星本体が最も大きく見えると予想されます。
※各地の月の出・月の入の時刻は、以下の暦計算室のページで調べることができますので、ご参照ください。
→「今日のこよみ」のページ
→「こよみの計算」のページ
※ハートレイ彗星の方位・高度は、以下の暦計算室のページで調べることができますので、ご参照ください(星図に「ハートレイ彗星」と表示されます)。
→「今日のほしぞら」のページ
表:ハートレイ彗星の南中(正中)時刻・観察に適した時間帯(東京)
日付 | 南中時刻 (正中時刻) | 月の入 | 観察に適した時間帯 | 予想等級 |
---|---|---|---|---|
10月15日頃 | (翌日の) 2時30分頃 | 23時頃 | 22時〜(翌日の)4時頃 | 5〜7等級 |
10月18日頃 | (翌日の) 3時00分頃 | (翌日の) 2時頃 | (翌日の)1時〜4時頃 | 5〜6等級 |
10月21日頃 | (翌日の) 3時30分頃 | (翌日の) 5時頃 | (翌日の)3時〜4時頃 | 4〜6等級 |
※彗星の明るさは当初の予想通りにならないこともあります。実際に観察して、見え方を確かめてください。
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※この星図は北が上に描かれています。
地面に立って空を見上げたときには、
北が上になるとは限りませんのでご注意ください。
StellaNavigator (AstroArts/ASCII) にて作図
キャンペーン期間の半ばとなるこの期間は、彗星がさらに明るさを増し、4〜6等級となることが予想されます。等級だけから考えれば、肉眼でも観察できそうな明るさです。
しかし、この時期は、月と彗星の位置が近く、月明かりに照らされた明るい空でしか観察できなくなります。このため、観察条件の良い日がほとんどありません。
特に、10月28日前後は月と彗星が見かけ上大変接近し、彗星の観察はかなり難しいことが予想されます。
なお、ハートレイ彗星は、10月28日15時頃に太陽に最接近します(近日点通過)(接近距離:約1.06天文単位=約1億6000万km)。この前後で彗星活動が最も活発となり、彗星自体の明るさも最も明るくなる頃です。
※各地の月の出・月の入の時刻は、以下の暦計算室のページで調べることができますので、ご参照ください。
→「今日のこよみ」のページ
→「こよみの計算」のページ
※ハートレイ彗星の方位・高度は、以下の暦計算室のページで調べることができますので、ご参照ください(星図に「ハートレイ彗星」と表示されます)。
→「今日のほしぞら」のページ
表:ハートレイ彗星の南中(正中)時刻・観察に適した時間帯(東京)
日付 | 南中時刻 (正中時刻) | 観察に適した時間帯 | 予想等級 |
---|---|---|---|
10月24日頃 | (翌日の) 3時30分頃 | (翌日の)0時〜4時頃 ※ただし、月明かりあり | 4〜6等 |
10月27日頃 | (翌日の) 4時頃 | 月に近く観察に不向き | 4〜6等 |
10月30日頃 | (翌日の) 4時頃 | (翌日の)0時〜4時頃 ※ただし、月明かりあり | 4〜6等 |
※彗星の明るさは当初の予想通りにならないこともあります。実際に観察して、見え方を確かめてください。
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※この星図は北が上に描かれています。
地面に立って空を見上げたときには、
北が上になるとは限りませんのでご注意ください。
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この期間になると、月と彗星の位置が離れていき、再び月明かりの影響を受けずに観察できるようになってきます。
11月2日頃になると月の出の時刻は十分遅くなり、彗星の高度が比較的高くなる0時頃から、月が地平線から上る3時頃まで、月明かりの影響なく観察することができます。
さらに11月5日以降になると、月明かりの影響を受けずに観察できるようになります。彗星の地平線からの高度が高くなる1時頃から、空が白み始める明け方の5時頃まで、観察できるようになります。
ハートレイ彗星は、地球からも太陽からも遠ざかり、一般的には暗くなり始める時期を迎えます。しかし、ハートレイ彗星の場合、過去の観測から、太陽に最接近した後もしばらく明るくなる傾向がみられました。このため、この期間に、最接近時以上に明るくなると予想する人もいます。
予想通りとなれば、空の暗い場所ならば、肉眼でぼんやりとした彗星の姿が見えることでしょう。また秋が深まり、空も澄んでくる時期です。都市近郊や市街地でも、双眼鏡を使えば、観察できるでしょう。ぜひチャレンジしてみてください。
※各地の月の出・月の入の時刻は、以下の暦計算室のページで調べることができますので、ご参照ください。
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※ハートレイ彗星の方位・高度は、以下の暦計算室のページで調べることができますので、ご参照ください(星図に「ハートレイ彗星」と表示されます)。
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表:ハートレイ彗星の南中(正中)時刻・観察に適した時間帯(東京)
日付 | 南中時刻 (正中時刻) | 月の出 | 月の入 | 観察に適した 時間帯 | 予想等級 |
---|---|---|---|---|---|
11月2日頃 | (翌日の) 4時頃 | (翌日の) 2時30分頃 | 昼間 (14時頃) | (翌日の) 0時〜3時頃 | 4〜6等 |
11月5日〜11日頃 | (翌日の) 4時頃 | (翌日の) 夜明け後 | 昼間〜ハートレイ 彗星が出る前 | (翌日の) 1時〜5時頃 | 4〜6等 |
11月14日頃 | (翌日の) 3時30分頃 | 昼間 (12時30分頃) | (翌日の) 0時頃 | (翌日の) 1時〜5時頃 | 5〜6等 |
※彗星の明るさは当初の予想通りにならないこともあります。実際に観察して、見え方を確かめてください。
彗星が予想通り明るくなった場合、天の川が見えるような空が暗くて星のよく見える場所でなら、機材をなにも使わずに、肉眼で彗星を見ることができるかもしれません。星座を形作る星(恒星)とは違って、小さな雲のようにぼうっと広がった感じに見えるはずです。ただし、大きな都市やその周辺では、空の明るさに紛れてしまって肉眼で見るのは難しいかもしれません。
肉眼で見えないときでも、双眼鏡を使えば彗星を見ることができるかもしれません。ただ、あまり倍率の高い(15倍以上の)双眼鏡や、口径(レンズの直径)の小さな(3cm以下の)双眼鏡は彗星を見るのに適していません。倍率の高い双眼鏡を使うと、見える範囲が狭いために彗星を視野に入れづらいですし、彗星の見え方も暗くなってしまいます。同様に小さな双眼鏡では、彗星があまり明るく見えません。
また、可能ならば、双眼鏡を三脚などに固定して彗星を見るようにしてください。双眼鏡を手で持っていると、どうしても揺れてしまい、見づらくなってしまいます。
とはいえ、最初からあきらめてしまうのではなく、お持ちの双眼鏡で是非チャレンジしてみてください。機材の能力が不十分なところを、繰り返し観察して慣れることでカバーできることもあります。
口径6cm程度の小望遠鏡でも彗星を見ることができるはずです。
倍率はせいぜい20〜30倍程度と、あまり倍率を高くしないようにしましょう。双眼鏡と同じように、倍率を高くすると、見える範囲が狭いために彗星を視野に入れづらいですし、彗星の見え方も暗くなってしまいます。
15秒程度の長時間露出が可能なデジタルカメラであれば、彗星を撮影できるかもしれません。カメラの性能にもよりますが、興味のある方は、以下のページを参考にチャレンジしてみましょう。
コマと呼ばれる部分が広がり、ぼーっとして面積を持った小さな雲のように見えるはずです。ガスが青い色で光っているため、全体的には青みがかって見えそうです。また、中央には恒星状の強い集光が見えるかもしれません。
今回のハートレイ彗星は、地球から見て太陽の反対方向に彗星が位置します。このような位置関係の場合、彗星の尾は、地球から見て彗星の向こう側(奥側)に伸びてしまいます。したがって、尾が長く伸びて見えることはないかもしれません。
また尾が見える場合でも、肉眼で確認するのは難しいかもしれません。双眼鏡や望遠鏡ならば、かすかな尾がわかるかもしれませんので、注意をはらってください。
カメラで撮影した場合には、尾が伸びているのがわかるかもしれません。
日本全国、どこでも見ることができます。(日本以外の国でも見ることができます。)
ただしハートレイ彗星は、大都市や街灯の明かりに比べてとても弱い光しか出していません。人工の明かりの影響があると、それに邪魔されて、彗星がとても見えづらくなります。
大都市から離れた場所の方が、彗星ははるかに見やすいでしょう。また市街地の場合でも、近くに街灯など人工の明かりがない(少ない)場所の方が、より見やすくなります。
明るい場所から暗い場所に出て、10分以上は暗さに目を慣らしましょう。ハートレイ彗星の光はたいへん淡いですので、暗さに十分目を慣らさないと、見るのがなかなか難しいと思われます。双眼鏡や望遠鏡を使う場合でも、やはり目が暗さになれているほうが暗い部分まで見えますので、より楽しめるでしょう。
ハートレイ彗星のように淡い天体の場合、彗星のある位置をまっすぐに見つめるより、目を少しそらし気味にしたほうがよく見えることがあります。視野の中心には、色の判別が得意ですが暗い光の苦手な細胞があり、視野の周辺には、色の判別は苦手ですが暗い光の得意な細胞があるためです。まっすぐに見つめずに注意だけを向けるというのは、慣れないとなかなか難しいのですが、やっているうちに慣れてくると思います。
秋も深まる時期で、夜間、特に明け方まで観察していると冷え込むことが予想されます。普段の生活では、夜に何十分も屋外でじっとしている経験をすることは、なかなかないことかもしれません。普段よりも厚着をするなどして、寒さには十分注意してください。