12月10日夜、皆既月食を観察しよう ―2011年12月10日夜、全国で好条件の皆既月食―

観察の仕方

目で見て観察

肉眼でも十分

月食は、肉眼でも十分観察できる天文現象です。月が欠け始める10日21時45分頃に、夜空で月がどこに見えるか肉眼で探してみましょう。この時刻には、すでに月は南東の空高く昇っていますから簡単に見つけることができるでしょう。皆既月食中の月は、ほぼ真南の空高く、頭の真上付近に見えます。
月がどのような様子で観察されるのか、ぜひその目で確かめてください。

双眼鏡・望遠鏡で

双眼鏡や望遠鏡を持っている方は、ぜひそれらを使って月を見てみましょう。特に部分月食のときには、地球の影が月面を移動していく様子が、わかりやすいでしょう。
なお皆既月食中は、肉眼で見たイメージと多少違って、明るく見えたり、逆に暗く見えたりすることがあります。ぜひ、見比べてみましょう。

中継などを利用する

全国の天文施設の中には、今回の皆既月食をインターネット中継するところもあります。もし自分のいる場所が曇るなどして、月食を直接見ることができない場合には、インターネット中継を利用してはいかがでしょうか。

 → インターネット中継などを予定している天文施設

ただ、もし月食を直接見られる機会があるのでしたら、中継映像を見るだけで観察を終えてしまうのではなく、実際にご自身の目で月食をご覧になってみてください。中継映像だけては得られない面白さがあるのではないかと思います。

※ 中継映像は、撮影の方法などによって、実際とは色・明るさが異なってしまう場合があります。そのため、今回のキャンペーンでは報告対象としていません。

月にかかる影の色を観察しよう

月にかかる影の色を観察してみましょう。

影の色は、月食ごとにも違いますし、一度の月食の中でも時刻によって変わって見えます。

月が赤黒く染まる理由(説明図)
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影の色を表すのに「ダンジョンの尺度(スケール)」という目安が使われることがあります。今回のキャンペーンでは、このダンジョンの尺度をわかりやすく読み直した尺度で、影の色を報告していただきます。色の見本を図にしましたので、参考にしてください。

また、影に色がつく理由やダンジョンの尺度についてより詳しく知りたい方は、「皆既月食中の月の色について」もご覧ください。

観察結果を記録しよう

皆既月食は、ただ眺めているのも楽しいと思いますが、それだけですと、月がいつどのような状態だったのか、すぐにわからなくなってしまいます。どのようにして月食が進行したのか、文字に書くなどして残しておくと、後で月食の様子を振り返ることができ、楽しみも増すのではないでしょうか。

観察結果の記録用紙(縮小画像)
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今回のキャンペーンでは、月食を11の時間帯に分けて、各時間帯に1回、月や月にかかる影の色がどのように見えたかを観察し、報告していただく予定です。観察結果はその都度記録しておき、月食が終わってから(または、月食の途中で観察を終えてから)まとめて報告していただくことになります。記録が簡単にできるよう、各時間帯での観察結果を記録する用紙を用意しましたので、事前に印刷して、観察結果の記録にご利用ください。(観察者ごと、肉眼・双眼鏡・望遠鏡の別ごとに、必要な枚数の用紙を印刷してください。)

→ 記録用紙はこちら(pdf形式)。ダウンロードし印刷してお使いください。

スケッチをとろう

スケッチ用紙(縮小画像)
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皆既月食は、肉眼でも手軽に観察できる現象ですから、ぜひスケッチをとって記録を残してみましょう。部分月食のときには、月面のどこまで影が入り込んだかを、月の模様と比べて記録するとよいでしょう。皆既月食のときには、月がどのような色に見えたか、色鉛筆やクレヨンなどで色を付けてみるとよいでしょう。あとで、今回の月食がどんな風に見えたのかを振り返ることのできる、よい記録になることでしょう。

→ スケッチ用紙はこちら(pdf形式)。ダウンロードし印刷してお使いください。

月食の撮影

ビデオカメラ・デジタルカメラでの撮影

最近は、ビデオカメラやデジタルカメラの性能が良くなり、暗い天体も写しやすくなってきました。そこで、ぜひ月食中の月を撮影してみてはいかがでしょうか。
撮影する際には、ズーム機能をなるべく望遠側にして、撮影してみましょう。このとき、三脚などに固定すると、手ブレを防ぐことができます。なおデジタルズームは画質が劣化するので、あまりおすすめできません。

写った像が明る過ぎたり、逆に暗くて月が写らなかったりする場合は、シャッタースピードや絞りを調節してみましょう。部分月食中の月は比較的明るいので、シャッタースピードを速めにしたり、絞りの値を大きく設定するとよいでしょう。皆既月食中の月はかなり暗いので、絞りの値を小さくしたり、スローシャッターモードや夜景モードなどを試してみるとよいでしょう。

またピントですが、設定することができるカメラでは「無限遠」に合わせましょう。無い場合には「遠景モード」などをお試しいただくのも、よいかもしれません。

望遠鏡を使用した撮影

望遠鏡を使うことができる場合は、接眼部(目でのぞく部分)に、デジタルカメラやカメラ付き携帯電話を当てて撮影すると、月を大きく写すことができます。カメラの位置を接眼部の良い位置に合わせるのが、少々手間取りますが、ぜひお試し下さい。
なお各地の観望会に参加してこの方法を試す場合には、スタッフの方の指示に従うようお願いします。観望会の妨げにならないよう、ご注意ください。

このほか、一眼レフデジタルカメラなどの場合には、望遠鏡に直接取り付けて撮影することも可能です。このような専門的な撮影方法については、専門書などをご参照ください。

ご注意

フィルム式カメラでも、撮影することはもちろん可能です。しかしシャッタースピードや絞りの値を決めるのが少々難しいので、注意が必要です。この点からいうと、撮影してすぐ確認できるデジタルカメラを使って色々と試した方が、良い写真(画像)を得られやすいでしょう。

今回の記事は、お手持ちの機材で手軽に撮影することを中心に、その方法をご紹介いたしました。あらかじめご了承ください。