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キャンペーンの結果(月面の色の観察結果)

全体・現象別割合時間帯別割合前回との比較全体・現象別・時間帯別件数観察方法別割合

観察結果(月面の色)

全体・現象別集計(割合)

 月面の欠けている部分(影の部分)の色の結果について、全体と現象別に割合をグラフにまとめました。
 また、月の色を示す0〜4の値(ダンジョンの尺度)について、平均値を求めました。

 →ダンジョンの尺度についての解説はこちら

全体と現象別の月面の色の結果のグラフ
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 皆既月食中は、ダンジョンの尺度で「1.灰色またはこげ茶」と「2.暗い赤」の割合が30%台でおよそ同じくらいでした。それよりも暗い「0.黒」の割合は2.5%で少なく、明るめの「3.明るい赤」「4.オレンジ」の方がそれぞれ11.1%で若干多めでした。

 部分月食中は、尺度で「0」が30%と増え、「1」と同数となり、暗めに観察されました。
 部分月食中は、影の部分以外の月面は明るく輝いているため、影の部分の色がわかりづらくなり、一般的に皆既月食中より暗い色で観察されます。結果でも、この傾向が出ているようです。
 一方で、「4」は皆既月食中よりも増え、20%でした。もしかしたら、月面の欠けている部分ではなく、輝いている部分の色をご報告いただいたのかもしれません。

 ダンジョンの尺度の平均は、全体では1.76、皆既月食中は1.92、部分月食中は1.52となりました。ダンジョンの尺度は皆既月食の観察で用いますので、今回の皆既月食を示す代表の値は「1.92」ということになります。

 ただ、部分月食の間も、月面の欠けている部分が色づいて見えることが多いため、今回のキャンペーンでは報告していただくことにしました。先の結果でもわかりますが、部分月食中の値は1.52となり、皆既月食中の値1.92と比べて暗めに観察されています。

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時間帯別集計(割合)

 月面の欠けている部分の色の結果について、時間帯別の割合をグラフにまとめました。
 また、ダンジョンの尺度について、平均値を求めました。

時間帯別の月面の色の結果のグラフ
 →グラフのデータへ

 皆既月食中(B, C, D)の時間帯は、尺度で「1」「2」と観察された方が多めでした。尺度の平均値では、皆既月食の中頃(C)の時間帯で1.80となり、前後(B, D)の1.93〜2.04より暗めに観察されています。皆既月食の中頃の時間帯では、月が地球の影のより中側に入り込んでいるため、やや暗めに観察されたとのだと思われます。

 部分月食の前半(E)の時間帯は、尺度で「1」が37%と多く、次いで「0」「2」「4」が20%前後でした。尺度の平均値では、1.61でした。
 一方、部分月食の後半(F)の時間帯になると、「0」の割合が47.5%と大変多くなりました。部分月食の後半では、月面で欠けて見られる部分の面積が減っており、逆に輝いて見られる部分の面積が増加しています。この影響で、月面の欠けている部分の色がわからなくなり、このような結果となったと思われます。
 なお「4」も多く見られましたが、先に述べました通り、月面の輝いている部分の色をご報告いただいたのかもしれません。
 時間帯が前後しますが、皆既月食開始以前(A)の時間帯も部分月食中です。こちらは、部分月食の前半(E)の時間帯に近い結果となりました。

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前回との比較(割合)

 日本で見られた前回の皆既月食は、2007年8月28日に起こりました。この時にも国立天文台では観察キャンペーンを実施し、ダンジョンの尺度を用いた観察報告をしていただきました。この結果と今回の結果を比較してみました。
 なお、今回の皆既月食では、皆既月食中の時間帯を集計した結果を使用しています(前回2007年のキャンペーンでは、皆既月食中のみを対象として観察していただきました)。

 →2007年8月28日に実施した「『皆既月食どんな色?』キャンペーン」のページはこちら

前回との結果の比較のグラフ
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 今回の月食と前回の月食の観察結果を比べると、どちらも尺度で「2」が最も多かったものの、今回の方では特に「1」が36.4%と増え、暗めに観察された人が多くみられました。
 ダンジョンの尺度の平均値でも、今回は1.92と、前回の2.32よりも0.4小さくなり、暗めに観察されたことがわかります。

 今回の月食が前回2007年より暗く観察された理由は、はっきりとはわかりません。ひとつには、実際に大気中のチリなどが前回よりも多く、地球の影が暗かったことが考えられます。また今回の月食では、おおまかに見ると前回2007年のときよりも月が地平線に近い低い空にあるときに皆既月食が起こりました。この場合、月などの天体は大気の影響を受けて暗めに見られますので、この影響が出た可能性も考えられます。

 なお、火山の噴出物が大気中に多く漂っていた際の皆既月食では、ほとんどの人が「0」または「1」と観察しますので、今回は(多少の影響が出た可能性はありますが)、そこまでの影響は見られなかったと推測されます。

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全体・現象別・時間帯別集計

 月面の影の部分の色の結果について、件数を表にまとめました。

時間帯(現象) 0.黒 1.灰色
または
こげ茶色
2.暗い赤3.明るい赤4.オレンジ 合計 
時間帯別集計
A: 16時39分以前
(皆既月食開始以前)
56101426
B: 16時40分〜17時04分
(皆既月食の始めの頃)
316137645
C: 17時05分〜17時29分
(皆既月食の中頃)
123267360
D: 17時30分〜17時54分
(皆既月食の終わりの頃)
020244957
E: 17時55分〜18時28分
(部分月食の前半)
12201011154
F: 18時29分〜19時02分
(部分月食の後半)
191020940
G: 19時03分以降
(部分月食終了以降)
110024
皆既月食中の集計
皆既月食中合計
(B, C, D)
459631818162
部分月食中の集計
部分月食中合計
(A, E, F)
363622224120
全体の集計
全体4196852044286

 皆既月食の時間帯だけを集計した結果では、尺度で「2」が最多でした。以下「1」、「3」と「4」が同数、「0」の順に多い報告をいただきました。

 部分月食の時間帯だけを集計した結果は、「0」と「1」が同数で最多でした。以下「4」「2」「3」の順に多い報告をいただきました。

 全体では「1」と観察した方が最多でした。以下「2」「4」「0」「3」の順に多い報告をいただきました。

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観察方法別の集計(割合)

 月面の影の部分の色の結果について、観察方法別の割合をグラフにまとめました。
 なお、集計は「皆既月食中の合計」(B, C, D)について行いました。

観察方法別の結果を示すグラフ
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 ダンジョンの尺度の平均は、肉眼の1.88に対して、双眼鏡が2.00と、やや明るめに観察されたことがわかります。望遠鏡ではさらに明るく、平均値は2.50でした。
 個々に見ていくと、双眼鏡では尺度で「0」がなく、肉眼に比べて「4」が増加しています。望遠鏡では、尺度で「0」「1」がなく、「2」「3」「4」のみとなっています。
 双眼鏡や望遠鏡を使用した場合には、肉眼よりも光を集めて観察することになり、この影響でやや明るめに観察された可能性が考えられます。しかしながら件数は、肉眼の137件に対して、双眼鏡が19件、望遠鏡が6件と極端に少なく、はっきりとした考察はできませんでした。

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